ヘリオスは太陽神であり、毎日太陽の四頭立ての戦車に乗り、東の波間から姿を現す。そんなヘリオスを先導して天に昇り天空を横切り、夕方に西方の流れの中に沈んでいくのは、曙の女神エオス。
また、月の女神であるセレネはヘリオスの後を追い、月の戦車で夜の天空を横切ると考えられていた、これが朝と夜を司る3神である。なかでも、ヘリオスは美男子として表現され厚い信仰を集めた。
その信仰の中心となったロドス島では、来攻してきたマケドニア王子デメリオスを撃退した際、市民が守護神ヘリオスに感謝し、港の入り口に高さ30メートルもある巨大な太陽神の巨像を青銅で建てた。これは、七驚異のひとつであったものの、大地震があったときに崩壊してしまった。
ヘリオスの子パエトンは父に会うために旅をし、東方にある父のいる太陽神の宮殿を訪れ、歓迎してもらった。その際、父は「何でも望みのものを与える」と約束したため、父への憧れの強かったパエトンは太陽神の戦車を操縦したいと願った。父は戦車を操縦することは難しく、ゼウスでも不可能であると望みを変えるように説得したが、ゆずらない息子を戦車に乗せた。
戦車は案の定暴走し山や野を焼き払い海や湖を涸らし、世界中を死の恐怖に訪れた。ゼウスはヘリウスと相談し、息子に雷電を投げつけとめた。しかし、その衝撃でパエトンは戦車から落ちて死んでしまった。ヘリオスは嘆き悲しみ塞ぎこみ、丸一日太陽が出なくなってしまったことがある。