残虐で凶暴な戦いの神様である彼はゼウスとヘラの子供である。しかし、その性質から神々からも嫌われいる。神話の中に出てきたアマゾンやキュクノス、ディオメデスもすべてアレスの子供である。美術では若い美青年の容貌で兜や盾、槍などとセットで描かれる。
そんな彼だが、アプロディテと恋人となり密通を重ねていたが、彼女の夫に知られ、ほかの神々の前で醜態をさらされたエピソードがある。この二人の間に出来た子供はキューピッドのエロスと調和を意味するハルモニアである。
また、この荒々しい神と思慮深く知的で正義の象徴とされているアテナとを対比させ、正義と邪悪、叡智と暴力を擬人化させたものとして描かれることが多い。代表的な作品は、ミネルウァに斥けられるマルスだ。
この二人の密会は古代のギリシアでは好まれなかったのかあまり取り上げられないが、ヨーロッパではルネサンス、ロココ、バロックの画家たちに格好の材料となり、時代とともに官能的な表現がエスカレートしていった。